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日本サッカーの日本化に向けて〜「JAPANIZE FOOTBALL」キックオフイベント開催

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2023/05/02 13:00

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5月1日は特別な日です。イビチャ・オシムさんが亡くなったのが2022年5月1日。

 

ちょうど1年後、オシムさんからの「日本サッカーの日本化」をいかに実現するか?という宿題に答えるための活動がキックオフしました。


キックオフのイベントとして、子どもたちと指導者を集めたサッカー教室を開催しました。場所はジェフユナイテッド市原・千葉のホームタウンであり、オシムさんが初めて日本で指揮をとった市原市のゼットエーオリプリスタジアム。市内のチームに呼びかけて、小学校高学年の子どもたちと指導者合わせて100人ほどが参加しました。

 

企画したのは、活動の発起人である佐藤勇人さん(ジェフ千葉CUO)と羽生直剛さん(Ambition22 CEO)。2人はオシム監督のもとで見いだされ、その後日本代表にも選出された「オシムチルドレン」です。

 

開場を前に練習メニューの最終確認。ホワイトボードには、赤・青・黄・オレンジ・黒とオシムさんの練習の代名詞であった複数のビブスを使った練習メニューが書いてあります。一見みるとどんな練習をやるのかわからず難しそうです。
一緒にいたコーチからはもう少し簡単なメニューにしたほうが良いのではという意見もありましたが、勇人さんはあえて難しいメニューに取り組んでもらえることで、今日来た子どもたちに少しでも普段コーチから言われたことをやるのではなく自分がどのようなプレイをすればいいかを自分で考えるきっかけを作りたいと力説。オシムさんに学んだ「考えるサッカー」の一端にふれる機会を作りたいという意思が伝わってきます。

 

 

子どもたちが身にまとう色とりどりのビブスも用意してあります。

 

 

教室には佐藤さんと羽生さんのほか、井上卓也さん(東洋大学サッカー部 監督)、立石智紀さん(ジェフ千葉 アカデミーGKコーチ)、斎藤大輔さん(ジェフ千葉 アカデミーマネージャー)、要田勇一さん(横浜FC U-12ヘッドコーチ)、市原充喜さん(ジェフ千葉 アカデミースカウト)の、合わせて7人がコーチとして参加しました。皆さん、選手やコーチとしてオシムさんと関わり、そこでの経験を次の世代につなげたいと今回、呼びかけに応えてくれました。

 

午後6時半、学校の授業を終えて集まった子どもたちを前に、佐藤さんがJAPANIZE FOOTBALLのキックオフを宣言。

 

「オシムさんの命日であるきょう集まって、改めてサッカーを考える日にしたいと思います」。

 

 

さっそく教室がスタートし、4年生から6年生まで学年ごとに分かれると、カラフルなビブスを身に着けます。子どもたちに聞くと、ふだんの練習で使うのはせいぜい3色までだと言いますが、この日用意したのは5色。すでに混乱が始まっています。

 

まずは5人1組に分かれて、手でボールをパス。ただし、決まった場所にとどまらず、動き続けること。さらに、パスを出していい相手のビブスの色が指定されます。例えば赤のビブスを着た人は青にだけパスを出せて、青の人は黄色にだけといった具合です。

 

次に同じことを足を使って行い、途中からはディフェンスも加わります。ディフェンスにとられないようにボールを動かしながら、指定された色の選手を探します。

 

 

さらに、パスを出せる色の指定を突然、変更。子どもたちはますます戸惑い、指をさしながらパスを出せる相手を確認していました。

 

コーチの羽生さんからは「次の人にパスを出すことだけじゃなく、次の次を考えること。そうするとさらに先を読んで、単純に足元じゃなく、ほかの選手が動きやすい場所にパスを出すはずだよ」とアドバイス。

 

 

練習はさらに複雑に。6人のチームを2つつくってボールを奪い合うのですが、チーム内の6人は赤と青、オレンジと黄色といった具合に、違う色のビブスを3人ずつ着ています。チームは同じなのに色が違うのです。

 

さらに、それぞれのチームとも違う色のビブスを着た別の3人が、どちらのチームからもボールを受けられるフリーの立場で加わります。また、パスを出せるのは自分とは違う色の選手に対してだけという制限も。

 

子どもたちの口からは「ムズい・・・」。ぽろりと本音がこぼれていましたが、互いに声を掛け合いながら少しずつ教わったことを吸収しているようでした。

 

 

実は戸惑っていたのは、子どもたちが通うチームの指導者も同じ。「難しい」と首をひねりながらも、「これは面白い、うちのチームでもできそうだ」と真剣な表情で練習を見つめていました。

 

最後はミニゲーム。8対8などの形でゴールを目指すのですが、コーチの佐藤さんがひとこと、「単純に2チームに分かれると思う?」。

 

同じチームであってもビブスは2色あって、やはり自分と同じ色の選手には同じチームであってもパスが出せません。さらに、ゴールは両サイドに2つずつあるし、ふいにボールが2つに増えたりもします。

 

 

子どもたちは今まで経験したことのない形式のゲームにさらに混乱しますが、たくさん首を振りながら全体を見回し対応し始めます。片方のボールに人が密集しているのに気づくと、人が足りていないほうに走り、味方のパスの受け手になろうとする子どもも出てきました。

 

佐藤さんは練習を見ながらこう話します。

 

「オシムさんに教わった練習をベースにメニューを作りましたが、常に自分がどうすべきかって考え続けないといけないんです。練習中に悩むことこそがねらいなんです」。

 

練習を通して考えたことを共有してもらうため、練習後に少しだけ参加者どうしで振り返る時間を設けました。数人の子どもたちには発表もしてもらいました。

 

 

「パスをどうもらったらいいか、難しかった」。
「もらいやすい場所に動くとか、相手のためにプレーすることが大切だと思った」。
「最初はできなかったけど、顔を上げて味方と敵の位置を見るのが大事だとわかって、徐々にできるようになった」。

 

とても難しく戸惑ったようですが、子どもたちは練習を通して「考える」ことを学んだようでした。

 

最後に佐藤さんと羽生さんが集まった子どもたちメッセージを伝えました。

 

佐藤勇人さん
「オシムさんが日本に残したメッセージが『日本サッカーの日本化』です。こうやってみんなと話して、日本サッカーを良くしていきたいと思います。プロジェクトをオシムさんが愛した市原市でスタートできました。これから続けていきたいと思います」。

 

羽生直剛さん
「オシムさんからはボールを持っていない時でも考えながら走ることが大事だと教わりました。テクニックだけでなく、サッカーにはそういう部分も大事だと皆さんに伝えていきたいです」。

 

 

JAPANIZE FOOTBALLの活動はオシムさんが亡くなった日から1年後、2023年5月1日に、子どもたちと考えて走り、スタートしました。これから子どもたちや指導者、サッカーに関わる多くの人を巻き込みながら活動を広げていきます。皆さんとともに「日本サッカーの日本化」を考えていきたいと思います。

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