
子どもたちに伝える「好き」と「得意」の大切さ 小学校向けイベントレポート
「夢はありますか?と聞いても答えられない子どもが多い。もっと手前の、それぞれが好きなことや個性に気づき、伸ばすことから始めたい」。
JAPANIZE FOOTBALLアンバサダーの佐藤勇人さんの問題意識を出発点に、小学生向けのワークショップを新たに始めました。千葉県浦安市での様子をレポートします。
実施に協力してくださったのは、浦安市立の日の出南小学校と富岡小学校です。2025年11月に実施したワークショップには小学5年生と6年生、2校合わせて約200人の子どもたちに参加してもらいました。
「好きと得意に気づくワークショップ」と名付けたこのワークショップでは、参加した子どもたちに自分たちの中にある「好き」や「得意」に気づいてもらうことを目的にオリジナルのワークシートを使用しました。

それぞれ事前に、どんな小さなことでもいいので、自分が好きだと思うことを書き出してもらったうえで、ワークショップ当日の体験の中でみんなから言葉をもらい、最後にその言葉も踏まえて自分の中にある「好き」を深めて、「得意」と思えるようなことを見つけてもらいます。
JAPANIZE FOOTBALLの発起人である佐藤勇人さんは、恩師のイビチャ・オシム監督からの指導を通して、選手それぞれの個性や強みを活かして掛け合わせることでチームが強くなると学んだといいます。
⇒佐藤勇人さんが活動への想いを語ったインタビューはこちら
まずは自分の中にある「好き」や「得意」を考えることで、自分なりの「個性」を見つけるきっかけをつくり、そして友達から自分の「得意」を教えてもらうことで、自分の知らない魅力的な「個性」にも気づいてもらいたいと今回のワークショップを企画しました。
当日、まずは佐藤勇人さんが講演をしました。
講演で勇人さんは、「自分の個性、人との違いを大切にすること、個性が違うからこそ周りの友達のことも助けることができる」と話しました。また、自身もジェフユナイテッド市原・千葉に入るためのテストに二度落ちる挫折を経験したものの、諦めずに続けたことでチームで最も多くの試合に出場した選手になれたというエピソードも紹介し、夢や大切なことを貫き通すことの大切さも伝えました。子どもたちは元プロサッカー選手の経験をもとにした話を、真剣な眼差しで聞いていました。

そして、お互いの違いを知るために、次は体を動かすパートです。5人1組でボールを使った簡単なゲームに挑戦してもらいました。
バスケットボールコート半面を使って、5人がそれぞれサッカーのドリブルをしたり、バスケのドリブルをしたり、バスケゴールにシュートしたりと違う役割を担ってもらいます。まずはランダムに割り振られた役割でゲームを行い、その後お互いの個性や得意に合わせた役割分担をチームの中で話し合って決めてもらい、新たな役割で2回目に挑みます。
子どもたちは少し複雑なルールに戸惑いながらも、みんなで声を掛けあったり応援したりしながらゲームを楽しんでいました。半分ほどのグループが2回目の挑戦でタイムを縮められていて、子どもたちは個性や得意を活かすことの大切さを少し実感したようでした。

最後にグループワークの時間をとりました。体を動かすパートと同じ5人組で、お互いの良いところや好きなところ、してもらってうれしかったことなど、どんどん声を掛け合ってもらいました。子どもたちは少し照れくさそうにしながらも、「面白い!」「足が速い!」「おしゃれ!」などお互いにいいなと思うところを挙げていました。
少し難しいワークもありましたが、最後にはそれぞれのワークシートを完成させて、達成感も得らえたようでした。終了後、子どもたちからは「自分では分からなかった、自分の良いところを友達が気づいてくれて自信になった」や、「ふだん関わることが少ないクラスメイトとたくさん話すきっかけになった」といった声が寄せられました。

JAPANIZE FOOTBALLは「それぞれの個性や強みを大切にする」というメッセージを、サッカーだけに閉じず伝えていきます。今回のワークショップのように、教育の現場などサッカーをプレーしていない子どもでも楽しんで学べるような取り組みも続けていきます。
